まるで君はドガの絵から抜け出したように

透明ですべてをぼくにさらしていて

君の後ろの光は君をやさしく包み込み

ぼくだけに幸せをくれているようだ

これからどうぞよろしくって君は微笑み

ぼくの責任は嬉しさに震え輝いた

 

扉の向こうにはぼくらの明日がある

夢は拍手に導かれて歩き出した

ぼくたちは誓いを立てて約束した

苦しみは分かち合い互いに愛すること

これから仲良くやってねと天使が微笑み

ぼくらはうなずいてお辞儀をした

 

解けないカボチャの馬車がやってきた

御者がぼくらの口づけに照れていた

足取りは軽く二頭の白馬は駆け出した

12時が何度もぼくらを回りはじめ

君はいつもそばにいてくれるんだね

ぼくはいつも君のそばにいるよ

 

かぼちゃの馬車
星 新一 (著)
地方から都会に出てきて、ひとりで暮している若い女のもとに届いたダイレクト・メールの内容は? だれもが見すごしてしまいそうな、目立たない家に住んでいる夫婦者の正体は? 熱帯の小さな国の独裁者に捕えられた男の運命は? めまぐるしく移り変る現代社会の裏の裏のからくりを、寓話の世界に仮託して、鋭い風刺と溢れるユーモアで描くショートショート。

らでぃっしゅクラブ